委託者による信託契約の取り消し
家族信託において、委託者は信託財産の管理や処分についての方針を固め、信託契約を結ぶことにより信託財産を受託者に託す重要な役割を行います。
しかしその委託者が信託契約の取り消しや変更を申した場合、家族信託ではどのような対応が必要となるのでしょうか。こちらでは信託契約の終了や変更についてご説明いたします。
委託者が信託の終了を希望した場合
信託契約を終了するためには、委託者、受託者、受益者の三者の合意が必要となります。つまり、当事者の間で信託の終了が納得されればいつでも可能となります。信託契約の終了を希望する委託者は、まず受託者と受益者にその旨を伝えましょう。
また三者が合意する以外にも、信託契約の中に信託を終了する事由について定めがある場合には、その定めに従うことになります。「信託目的達成時」、「委託者の死亡時」、「何らかの理由によって信託目的を果たすことが困難であると判断した時」など信託終了における事由は信託契約の中に記載しておくことができますので、契約締結時に定めておけば安心です。
委託者が信託の変更を希望した場合
信託の終了と同様に、信託契約を途中で変更する場合にも原則として当事者である委託者、受託者、受益者の三者の合意が必要になります。 信託契約を変更することは受託者や受益者にも大きく影響があるからです。
受託者にとっては受託される財産自体や管理・運用方法に変更が生じ、新たな手間がかかる可能性があります。また受益者は利益の増減という直接的な影響を受けるかもしれません。そのため三者である全員が変更に対して合意しないと信託の変更は認められません。また、信託行為の別段の定めがあった場合や、特別な事情により信託の変更を命ずる裁判があった場合も三者の合意が必要になります。
ただし、信託変更の内容が明らかに信託目的に反せず、受託者や受益者の不利にならないことが明確である場合には、当事者すべての合意を不要とするケースもあります。変更や終了を希望される場合には、再度信託契約を見直す必要があるため専門家にご相談ください。