家族信託と相続税について
家族信託(民事信託)において、ケースによっては相続税の課税対象となる場合があります。
契約当初は委託者=受益者(自益信託)とされることがほとんどですが、この最初の受益者のことを一次受益者といいます。この一次受益者が死亡した際に、他の人へ受益権が移る場合、相続税の課税対象となります。
なお、受益権の移転の方法には「受益者連続型信託」と「受益権相続型信託」の2つがあります。
受益者連続型信託
一次受益者=委託者として、相続人を二次受益者に指名しておき、委託者の死亡により、受益権が移転するよう定めている信託のことを「受益者連続型信託」といいます。遺言では自分の財産を誰に相続させるかを決めることができますが、2世代後までは指定することができません。2世代後以降も受益者を指定できるのがこの受益者連続型信託の特徴です。この時、一次受益者の受益権はなくなり、二次受益者へと移転しますので、民法上では相続の扱いではありません。しかし、税法上は相続税の「みなし相続」として課税対象になります。
※「みなし相続」とは、死亡退職金や生命保険などの相続財産以外で被相続人の死亡を原因として相続人が受け取る財産のこと。
受益権相続型信託
一次受益者(初めの受益者)=委託者(被相続人)として、委託者が死亡した場合は一次受益者の受益権を相続財産として相続人が相続する信託のことを「受益権相続型信託」といいます。この場合も、相続による受益権の取得になりますので、相続税の課税対象になります。
このように「受益者連続型信託」「受益権相続型信託」のどちらも相続税の対象となっています。信託の目的やご家庭の状況によっても最適な信託は異なります。専門家に相談することでそれぞれのお悩みに合った信託を提案してもらえるでしょう。